あとがき
家が建ち、そこでの暮らしが始まったとき、その家は住まいになる。
「家」と「暮らし」と「住まい」。この同じようなニュアンスの単語の違いを
考えてみた。家と住まいの違いはそこに暮らしているか、いないかによるものではないか?家は建築物であり、暮らしとは
食事をしたり、くつろいだり、寝たり、起きたりという日々の生活のことで、その暮らしを繰り返す場所が住まいなんだと思う。こうしてみると、あたりまえのことを
書いている気がするが、文章にすることでより強く意識することに気づく。家具屋はただ家具を作るのではなく、家具を使ってもらうことにより便利で楽しい暮らし
ができるように、設計事務所はただ家を建てるのではなく、そんな暮らしを支える住まいを提案していくことが大切になるということ。
家の外観は街の景観になるということも考えていきたい。日本や海外の古い家には日々の暮らしに対する美意識を感じることができる。その美意識を共有し、
土地の風土や気候に合わせてできた建築スタイルが、魅力ある街並みになっている気がする。
様々な選択肢がある今の世の中で、現代の暮らしからくる建築スタイルとは何なのか、このイベントを
企画したことでそんな課題が見えたように思う。
岩佐達也
